名前を変えたいと思ったとき、道は二つに分かれます。 戸籍に書かれた名そのものを変える道と、戸籍はそのままで別の名を日常や仕事で使う道です。 前者は家庭裁判所の許可がいる法律の手続きで、後者は手続きを伴いません。 ここでは、それぞれで何が必要になるかを、裁判所と法令の情報をもとに整理します。
戸籍の名を変えるには家庭裁判所の許可がいる
戸籍法第107条の2は、正当な事由によって名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、 その許可を得た名を届け出なければならないと定めています。 役所の窓口だけで完結する手続きではなく、まず裁判所の判断を経る点が特徴です。
申立先は申立人の住所地の家庭裁判所です。 申立てをするのは名を変えようとする本人で、15歳未満の場合は法定代理人が代わって行います。 費用は収入印紙800円分と、連絡用の郵便切手です。 切手の額は裁判所ごとに決められているため、申し立てる裁判所の案内で確認する必要があります。 申立書のほかに、戸籍謄本と、名を変更する理由を裏づける資料を添えます。 審理にかかる期間について、名古屋家庭裁判所は目安として約1か月と案内しています。
「正当な事由」はどこまでを指すのか
許可の分かれ目になるのが正当な事由です。 裁判所は、正当な事由とは名の変更をしないとその人の社会生活において支障を来す場合をいい、 単なる個人的趣味、感情、信仰上の希望等のみでは足りない、と説明しています。 本人がその名を気に入らない、という理由だけでは足りず、暮らしの中で実際に困っていることが求められます。
裁判所の申立書には、申立ての理由として次の項目があらかじめ印刷されています。 どのような支障が想定されているかが、ここから読み取れます。
- 奇妙な名である
- むずかしくて正確に読まれない
- 同姓同名者がいて不便である
- 異性とまぎらわしい
- 外国人とまぎらわしい
- 神官、僧侶となった、またはやめた
- 通称として永年使用した
- その他
どの項目を選べば通りやすいか、といった順位は裁判所からは示されていません。 許可率の統計も公開されていないため、事前に見通しを立てられる性質の手続きではありません。
姓名判断を理由にした改名は認められていない
ここは正直に書いておきます。 名古屋家庭裁判所の案内は、名の変更許可について、姓名判断を理由とするものは認められていません、と明記しています。 画数の吉凶を根拠に申立てをしても、それだけでは正当な事由にあたらないという扱いです。
当サイトの改名診断は、名前を変えたらどんな画数になるかを娯楽として見るためのものです。 裁判所に提出する資料にはなりませんし、手続きの見通しを示すものでもありません。 戸籍の名を変えたい事情があるときは、裁判所の案内を読み、必要なら弁護士や司法書士に相談してください。
氏(名字)の変更は要件がもう一段重い
名字を変える場合は、戸籍法第107条が定めるやむを得ない事由が必要です。 裁判所は、氏については変更しないと社会生活で著しい支障が生じる場合と説明しており、名の「支障を来す場合」と書き分けています。 申立人も本人ひとりではなく、戸籍の筆頭に記載した者とその配偶者です。 同じ戸籍にいる15歳以上の人の同意書を添えることも求められます。 名字は戸籍にいる全員に及ぶため、要件も手続きも重くなっています。
なお、外国人との婚姻による氏の変更は婚姻の日から6か月以内、離婚や配偶者の死亡による復氏は その日から3か月以内であれば、家庭裁判所の許可なく届出だけでできます。
許可が出たあとに待っている名義変更
家庭裁判所の許可が出ても、そこで終わりではありません。 許可を得た名を市区町村に届け出て戸籍が書き換わり、そのあとに身分証や契約の名義をそろえていくことになります。
- マイナンバーカードは券面記載事項の変更手続きが必要です。手数料はかからない一方、 氏名が変わると署名用電子証明書は失効するため、使い続けるには再発行がいります。
- 運転免許証は、道路交通法第94条第1項により、変更を生じたときは速やかに公安委員会へ届け出て記載を受けます。 何日以内という日数ではなく、速やかにと定められています。
- パスポートは記載事項変更の申請か切替の新規発給になります。手数料は種類と申請方法で異なるため、外務省の案内で確認してください。
- 公的年金は、日本年金機構にマイナンバーが収録されている人は氏名変更の届出が原則として不要です。 未収録の場合や海外居住、共済組合や企業年金は別の扱いになります。
銀行口座やクレジットカード、各種の資格や登記は、それぞれの窓口の手続きに従うことになります。 一度に片づく作業ではないので、日数に余裕をみておくと安心です。
戸籍を変えずに別の名を使うという道
仕事の場で使う名前を変えたいだけなら、戸籍に触れない方法もあります。 商法第11条第1項は、会社を除く商人は、その氏、氏名その他の名称をもって商号とすることができると定めています。 個人事業の屋号として、本名以外の名称を掲げることは法が明文で認めています。
ただし、公的な書類の上では戸籍の名前が基準になります。 住民票に通称を記載できるのは、住民基本台帳法施行令第30条の16が定める外国人住民の通称に限られます。 日本人が住民票やマイナンバーカードに併記できるのは旧氏、つまり自分の戸籍にある過去の氏の中から選んだ一つで、 好きな名称を載せられる仕組みではありません。
そのうえで、私生活や事業で別の呼び名を使うこと自体は、裁判所の申立書に「通称として永年使用した」という項目が あることからも、制度が事実として想定しているとわかります。 芸名やペンネーム、ビジネスネームを考えている方は、当サイトの別名診断で画数を見ることもできます。 こちらも娯楽としての診断で、法的な効果はありません。
整理
- 戸籍の名の変更は家庭裁判所の許可制で、根拠は戸籍法第107条の2。収入印紙は800円分。
- 正当な事由とは社会生活に支障を来す場合を指し、趣味や感情だけでは足りない。
- 姓名判断を理由とする改名は認められていない、と裁判所の案内が明記している。
- 氏の変更はやむを得ない事由が必要で、申立人も同意書も名の変更より重い。
- 戸籍を変えずに屋号や通称を使う道はあるが、公的書類は戸籍の名前が基準になる。
出典: 戸籍法第107条、第107条の2(e-Gov法令検索)、裁判所「名の変更許可」「氏の変更許可」および申立書様式、 名古屋家庭裁判所「名の変更許可」の案内、住民基本台帳法施行令第30条の13、第30条の16、総務省「旧氏の併記について」、 商法第11条、道路交通法第94条、日本年金機構の案内。 費用や必要書類は裁判所や自治体ごとに違いがあり、制度も改正されます。実際の手続きは必ず申立先の裁判所と市区町村の 最新の案内でご確認ください。本記事は一般的な情報の紹介であり、手続きの可否を保証するものではありません。 画数の姓名判断は娯楽としてお楽しみください。