VTuber・配信者名の決め方|手順と、決める前に確かめること

活動名は、あとから直すのがいちばん高くつく決めごとです。 配信を重ねるほど視聴者の呼び方が定着し、検索の実績も名前に紐づいていきます。 だからこそ最初に、決め方の順番と、決める前に確かめることを分けて押さえておく価値があります。

ここでは、素材の出し方から表記の選び方、被りと商標の確かめ方、改名の判断までを順に扱います。 画数の話は最後に置きました。順番として、そこが最後だからです。

活動名が同時に担う3つの仕事

名前の良し悪しを一つの基準で決めようとすると迷います。 活動名は性質の違う仕事を3つ同時に担っていて、それぞれ求めるものが違うからです。

呼ばれやすさを突き詰めると短く平凡になり、探されやすさを突き詰めると珍しく読みにくくなります。 3つを同時に満点にはできないので、どこで折り合うかを先に決めておくと、候補を切る基準ができます。

手順1 コンセプトを短い言葉にする

名前を出す前に、何者として活動するのかを一文にします。 「夜に落ち着いた声で話す、本の話をする吸血鬼」のような粒度で構いません。 この一文があると、候補が合っているかを自分で判定できるようになります。

逆に一文が書けないまま名前だけ探すと、候補が無限に出て決まらなくなります。 名前が決まらないという悩みの多くは、名前ではなくコンセプトが決まっていない状態です。

手順2 素材を集める

コンセプトの一文から、名前の材料になる語を書き出します。 出どころは4つに分けて考えると偏りません。

この段階では良し悪しを判定せず、数を出すことに徹します。 判定は次の手順以降でまとめて行います。

手順3 名前の形を決める

日本のVTuberや配信者の名前は、形が3通りに分かれます。 どれを選ぶかで、呼ばれ方も、あとで説明する画数の見方も変わります。

手順4 表記を選ぶ

同じ響きでも、漢字、ひらがな、カタカナ、アルファベットで印象と実務が変わります。 ここは好みだけで決めず、あとで効いてくる条件と突き合わせます。

加えて、VTuberに特有の条件が2つあります。 ひとつはロゴにしたときの収まりで、文字数が多いと切り抜きやサムネイルで潰れます。 もうひとつは使いたいフォントがその字に対応しているかで、 凝った字体のフォントは収録字数が少なく、珍しい漢字が出ないことがあります。 名前を決めてからフォントが無いと分かると、作り直しになります。

手順5 声に出して確かめる

候補が絞れたら、実際に使われる場面を再現します。

略称は自分が決めなくても視聴者が勝手に作ります。 作られたときに気持ちよく響く形かどうかを、先に自分で試しておくと後悔が減ります。

手順6 被りと権利を確かめる

ここからは好みではなく確認作業です。 好きな候補ほど、確認を飛ばしたくなるので、順番として先に済ませます。

プラットフォームで検索する

YouTube、X、Twitch、TikTok、ニコニコで、名前と読みの両方を検索します。 表記が違うだけの同名も拾いたいので、漢字とかなとカタカナを一通り試します。

ただし、この方法には限界があります。 活動を休んでいるチャンネルや、登録者がごく少ないアカウントは検索に出てきません。 VTuberをまとめたデータベースサイトもいくつかありますが、多くは申請制か有志の編集で、 載っていないから存在しないとは言えません。 被りの確認は「見つからなかった」までしか言えない作業だと理解しておくのが正確です。

使えるIDが空いているか見る

各プラットフォームのIDは早い者勝ちです。 Namechkのような一括確認の道具を使うと、 多くのサービスの空き状況をまとめて見られます。 日本のサービスは対象外のことがあるので、ニコニコなどは個別に確かめます。

将来サイトを持つ予定があるなら、ドメインの空きも同時に見ておきます。 JPドメインはJPRS WHOISで登録の有無を確認できます。

商標を検索する

同じ名前がすでに商標登録されていないかは、特許庁の J-PlatPatで調べられます。 工業所有権情報・研修館(INPIT)が提供していて、無料で、登録もいりません。

手順は、商標検索の画面で検索対象を出願と登録の情報にし、 検索項目に称呼(類似検索)を選び、名前の読みをカタカナで入れる、という流れです。 称呼で引くと、表記が違っても読みが近いものまで拾えます。 結果に出た番号のリンクから、出願人や区分や登録日を確認できます。

出願されたばかりで公開前のものは出てこないので、これも「見つからなかった」までの確認です。 類似かどうかの最終的な判断は審査の領域なので、事業として本気で使う名前なら弁理士に相談するのが確実です。

商標について、事実として言えること

名前は早い者勝ちなのか、という疑問はこの領域でよく出ます。 特許庁の説明の範囲で言えることを整理します。

原則は先に出願した人

商標は先願主義を採っています。 同一または類似の商標の出願があったとき、先に使っていたかどうかにかかわらず、 先に出願した人に登録が認められる仕組みです。 長く使っていたから自分のもの、とはならない点が、直感とずれやすいところです。

効力は区分の範囲に限られる

一方で、商標権は無制限ではありません。 権利は指定した商品や役務について認められ、他人の使用を排除できるのもその範囲と、 それに類似する範囲です。 同じ名前でも、まったく違う分野で使われている登録商標は、直ちに衝突するとは限りません。 「同じ名前が登録されている」と「自分が使えない」は別の話です。

他人の氏名を含む商標には別の条件がある

商標法は、他人の氏名や名称、著名な芸名や略称を含む商標は、その人の承諾がなければ登録できないと定めています。 この要件は令和6年(2024年)4月1日の施行で緩和され、 承諾が必要な氏名が、その分野の需要者の間に広く知られている氏名に限られました。 あわせて、出願人とその氏名に相当の関連性があることと、不正の目的がないことが求められます。 なお、活動名や芸名がここでいう他人の氏名に含まれるかを明示した説明は、特許庁のページでは確認できませんでした。

事務所名は登録されていても、個人名は限らない

商標公報のデータを見ると、大手VTuber事務所のブランド名は多数の区分で登録されています。 一方で、所属タレント個人の活動名は登録されていない例も確認できました。 個人で活動を始める段階なら、まずは検索して衝突を避けることが実務の中心になります。

事務所に所属する場合の活動名

所属した場合に活動名の権利が誰のものになるのかは、公開情報からは分かりませんでした。 大手事務所の利用規約には知的財産権の一般的な条項はありますが、 ライバーの活動名やキャラクター名の帰属を明示した条項は見つかりません。

ここを断定している解説は、根拠を確かめたほうがよい部分です。 実務としては契約書に書かれているかどうかがすべてなので、 所属を検討するなら、活動名を辞めたあとに使えるのかを契約前に文書で確認するのが確実です。

避けたほうがよい形

改名は早いほど傷が浅い

走り出してから名前を変えたくなることはあります。 判断の目安は単純で、視聴者に呼ばれた回数が少ないほど、変更の損は小さくなります。

変えるときに起きることは3つです。 検索から一時的に見つけられなくなること、視聴者の呼び方が入れ替わるまで時間がかかること、 プラットフォームによってはID変更の回数に制限があることです。 どれも致命傷ではありませんが、活動が伸びてからだと影響が大きくなります。

名前を変えたときに画数がどう動くかは、改名診断で前後を並べて見られます。

最後に画数を見る

ここまでの確認を通った候補が複数残ったとき、決め手が無くて止まることがあります。 画数はその場面で使う道具です。 先に画数から入ると、呼ばれやすさや検索性という本来の条件を後回しにしてしまいます。

当サイトのVTuber・配信者名の画数診断は、活動名を五格で判定します。 一語だけの名前や記号を挟む名前をどう数えるかは、 活動名の画数の数え方にまとめました。 画数の根拠については画数の数え方で、 当サイトが康熙字典の画数に統一している理由まで書いています。

決める前のチェックリスト

出典: 特許庁「商標制度の概要」(先願主義、権利の効力が指定商品と指定役務の範囲であること)、 特許庁「出願しても登録にならない商標」(商標法第4条第1項第8号)、 特許庁「他人の氏名を含む商標の登録要件が緩和されます」(令和6年4月1日施行)、 工業所有権情報・研修館(J-PlatPatの提供と称呼検索の手順)、JPRS WHOIS、Namechk。 商標公報のデータは特許庁発行のものを参照しました。 事務所所属時の活動名の権利については、一次情報を確認できていません。 個別の判断は弁理士など専門家にご相談ください。 画数の姓名判断は娯楽としてお楽しみください。活動の成否や個人の能力を決めるものではありません。