屋号とビジネスネームの決め方|開業届、商号登記、商標のちがい

副業や独立で仕事の名前を用意するとき、屋号、商号、商標という似た言葉が並びます。 窓口も費用も、名乗ることで得られるものも、三つはそれぞれ違います。 違いがわかると、自分の段階でどこまでやればよいかが決まります。

屋号は届け出るだけで名乗れる

個人事業を始めるときに税務署へ出す書類が、所得税法第229条にもとづく個人事業の開業届出書です。 条文は、事業を開始した事実があった日の属する年分の所得税の確定申告期限までに提出する、と定めています。 様式には屋号を書く欄があり、提出そのものに手数料はかかりません。電子申告でも出せます。

ここで書いた屋号は、税務上の事業の名称です。 屋号名義の口座を作るときなどに使えますが、その名前を他人が使うことを止める力は生じません。 同じ名前の店が隣町にできても、開業届を出したことを理由に文句を言えるわけではない、ということです。

商号登記は名前を登記簿に載せる

商法第11条第1項は、会社を除く商人はその氏、氏名その他の名称をもって商号とすることができると定め、 第2項でその商号の登記をすることができるとしています。 会社は設立登記で商号が必須になるのに対し、個人事業の商号登記はあくまで任意です。

登記をするときは法務局に商号登記申請書を出し、登録免許税として3万円がかかります。 登記簿に商号と営業所と営業の種類が載るため、対外的な信用の材料にはなります。 ただし、これも商標のように使用を独占する権利を与えるものではありません。

商標登録は使う権利を独占する

特許庁は商標を、事業者が自己の取り扱う商品やサービスを他人のものと区別するために使用する識別標識と説明しています。 商標登録をすると、指定した商品や役務について登録商標を使用する権利を専有でき、 他人が類似の範囲で使うことを排除できます。 侵害に対しては差止めや損害賠償を求めることができ、効力は日本全国に及びます。

存続期間は設定登録の日から10年で、更新登録の申請によって何度でも更新できます。 一方で、自己の氏名や名称を普通に用いられる方法で表示する場合には、商標権の効力は及ばないとされています。 本名をそのまま看板にしている人が、他人の商標登録によって自分の名前を名乗れなくなるわけではありません。

三つの違い

屋号(開業届)商号登記商標登録
窓口税務署法務局特許庁
根拠所得税法第229条商法第11条第2項商標法
義務届出は義務、屋号欄は任意個人事業は任意任意
費用提出は無料登録免許税3万円出願料と登録料(特許庁の料金表)
得られるもの税務上の事業の名称登記簿への公示使用の専有と、他人の使用の排除
期間10年、更新は何度でも可

個人ではじめる段階なら、まず開業届の屋号で足ります。 屋号を看板やサービス名として育てていく見通しが立ってから、商標を考えるという順番が現実的です。

名前を決めるときに確かめること

名前の候補が出たら、決める前に確かめておくと後戻りが減ります。

最後の点は見落としやすいところです。 住民票に通称を記載できるのは、住民基本台帳法施行令第30条の16が定める外国人住民の通称に限られます。 日本人が住民票やマイナンバーカードに併記できるのは戸籍にある旧氏だけなので、 ビジネスネームは公的書類の名前にはならない、と考えておくのが安全です。 戸籍の名前そのものを変えたい場合は、名前を変える手続きで家庭裁判所の許可について整理しています。

画数を参考にするなら

候補がいくつかに絞れて決めきれないとき、画数を最後の一押しに使う人もいます。 当サイトの別名診断は、芸名やペンネーム、屋号、SNS名の五格を見るツールです。 画数の意味は画数の意味一覧にまとめています。 姓名判断は娯楽なので、事業の成否や権利関係とは切り離して、参考のひとつとして使うのがちょうどよい距離です。

出典: 所得税法第229条、国税庁「個人事業の開業届出、廃業届出等手続」、商法第11条(e-Gov法令検索)、 法務局の商号登記申請書の記載例(登録免許税3万円)、特許庁「商標制度の概要」「商標権の効力」、 住民基本台帳法施行令第30条の16、総務省「旧氏の併記について」。 商標の出願料と登録料は区分数などで変わるため、特許庁の料金表でご確認ください。 制度は改正されます。実際の手続きは各窓口の最新の案内でご確認ください。本記事は一般的な情報の紹介であり、 手続きの可否や権利の有無を保証するものではありません。画数の姓名判断は娯楽としてお楽しみください。